ハート通信 vol.61 特別別紙
新型インフルエンザについてのQ&A 呼吸器内科 向井史孝
① 新型インフルエンザの診断っちどうやってするん?
多くの病院、クリニックで使われている、迅速診断キットを用います。3分~10分程度で結果が出ます。みなさんもご存じのとおり、細長い綿棒を鼻の奥に入れてグリグリしちゃいます。最近の迅速キットはだいぶ質もよくなって、事前に鼻水をかんでもらい、それを検査に出すことも可能です。鼻水がたくさん出る方はラッキーですが、出ない方はグリグリされちゃいます。私もされたことはあるので、痛いのはよくわかります。ちなみに咽頭ぬぐい(喉をぐりぐりすること)よりは鼻でやるほうが検出率は高いといわれています。
② 診断キットで新型か季節性か区別がつくんかえ?
迅速診断キットで分かるのはA型かB型かというだけで、新型か季節性(毎年流行しているインフルエンザのことです)かの鑑別はできません。
ただ、医師がA型陽性をみて、「新型でしょう」(断定はできません)と言っているのは、現在報告されている保健所からのデータより、99%以上が新型(今週に限っては100%新型でした)であるためです。
厳密には遺伝子を調べないと分かりませんが、治療は今のところ同じであるためあまり診察に影響はありません。
③ インフルエンザにかかっていても検査でなかなか陽性反応が出らんこともあるんかえ?
あると思います。
発病早期(12時間以内)ではウイルス量が少ないためインフルエンザにかかっていても検査で出ないことがあります。また一般に小児より成人、A型よりB型、発熱の程度が低い患者、ワクチン接種者、鼻汁が少ない患者で感度が低い(検査で陽性がでにくい)ようです。
よく診察室で説明するのは、早期の段階で検査して陰性であっても、診察した結果、インフルエンザの可能性が高い場合は、翌日(およそ半日おいて)再検査に来ていただくようにしています。もちろん、検査で陽性が出ないと薬が出せないわけではなく、喘息などの呼吸器疾患を抱えている方、同居している家族が1週間以内にインフルエンザにかかっている場合、家族の中に高齢者、乳幼児、妊婦さんなど高リスクの方がいらっしゃる場合などは早めに抗ウイルス薬を処方することもあります。診察の際に医師に伝えていただければ幸いです。
④ ワクチンを打てばインフルエンザに絶対かからんの?
そんなことはありません。
季節性インフルエンザのワクチンを接種しても新型インフルエンザにかかります。また季節性インフルエンザにもかかります(ただし、重症化しないという点ではワクチンは有用です)。いまのところは優先順位として決められており、それに従うしかないのですが、今後どうなっていくのかは経過を見守るしかありません。それでもマスコミの報道と実際の医療現場とでは食い違うところも多々あるので、なるべく電話などで確認をしたほうが賢明であると思います。
⑤ タミフル(内服薬)、リレンザ(吸入薬)などの抗ウイルス薬に対するあれこれ
タミフルは数年前マスコミでも報道された通り異常行動との因果関係がはっきりしないため、原則、10代の方は使用禁忌となっています。そのためほとんどの10代の方には代わりにリレンザを処方しています。ただし、リレンザは吸入薬であるため、喘息を持っている患者さんでまれに吸入によって喘息発作が増悪する方がいるため、リレンザが合わなかった場合はタミフルに切り替えているケースもあります。未だに、異常行動の副作用に関しては因果関係ははっきりしていないというのが現状です。使い始めの際は少なくとも2日間は目の届くところで見ていてください。リレンザでも異常行動の報告が出ており、こちらもまだ因果関係ははっきりしていません。
どっちがよく効くのかという質問をされますが、どちらの薬に関しても効果にはあまり差はないと思います。また、A型、B型いずれにも効果はあります。ただし、発症後48時間以内に使用するのが原則です。ウイルスを殺す薬ではなく、ウイルスの増殖を抑える薬であるため、ウイルスがかなりの量増えてしまった場合はあまり意味がないと思われます。
また注意するところで、熱が下がってしまうとタミフルやリレンザをやめてしまう方が数多くいますが、解熱してもしばらくはウイルスの排菌は続いています(そのため、解熱して2日間までは学校へは行けないということになっています。)しっかり使い切りましょう!
⑥ インフルエンザに一度感染すると、その年はもうかからないっち言うけどほんと?
そんなことはありません。
型が違えば同シーズンで2度かかるかたもいますし、同じA型でも新型と季節性でとでは違うため、A型に二回かかるということもあります。ソ連型と香港型でも違いますから油断は禁物です。
ワクチンを接種していても引き続き手洗い、うがいをこまめに行うこと、マスクの着用など予防には十分力をいれてください。
まだまだいっぱい書きたいことあるけど、今回はこの辺で・・・。いろいろと疑問に思った時はいつでも気軽に聞いてくださいね。
編集後記:ふみちゃんのつぶやき
私、医者になって9年目になります。内科医としてはまだまだベテランとはいえず猛勉強中です・・・。それでも他のベテランの2人の先生方(院長・副院長)といっしょに働けるというのは本当に光栄です。また自分の診察室を固定できるというありがたさ・・・他にそんな配慮をしてくれるところはなかなかないです。日々がいろんな面で勉強ですね。
それにしても最近のこの外来の忙しさ・・・半端じゃないですね。医師人生の中でもこの1ケ月は経験したことのない忙しさです(それは大げさか・・・)。診察室でインフルエンザに関して同じ話を何度も繰り返ししているため、あえて今月はインフルエンザの記事を載せてみました。みなさん、参考になったでしょうか?
まだ私が研修医のころ、タミフルがなかった時代はもっぱら漢方の麻黄湯やA型インフルに有効なシンメトレルが主流でした。いまではシンメトレルは新型インフルエンザには効かないし、タミフルやリレンザといういい薬ができたため、使われることはなくなりました。麻黄湯は今は普通の薬局でも置いてあり、インフルエンザに有効と大々的に看板を出しています。主役の2つの薬に次ぐ第3の抗ウイルス薬も近いうちお目見えするんでしょうね。
それはさておき、私の大好きな漢方薬ってとくに子供には不評なんですね。私としては麻黄湯+タミフル(リレンザ)が一番最強コンビだと自負していますが・・・。
てなわけで、よく本人や家族に、漢方飲めますかってあえて聞いています。飲めるって言ってもらえたら「ラッキー!」と心の中で叫んで、焼肉屋牛角風に「はい!喜んで」と思いながら処方しています。それぞれネックになるのは・・・
□タミフルドライシロップ:苦味が強いみたいで不評
□リレンザ:吸入薬で、うまく吸えているのかが不安で熱が下がらないと吸い方に問題があるんじゃないかと心配してしまうところが不評。
□麻黄湯:漢方だからやはり飲みにくい。また、いまだに漢方は慢性疾患の薬だと思われていることもしばしばあり、漢方~!!って言った瞬間に、本当に効くん?という突っ込みをいれる人
もいます。そういう面では不評・・・(悲)。
それぞれ薬にも一長一短があり、いつも悩みながら、なるべく患者さんに確実に飲んでもらえることを祈りつつ処方を考えている今日この頃です。
「良薬口に苦し」というのはもう古いのかな・・・でも私としては苦い薬を飲んでいるほうがよく効くような気がしてなりませんが・・・そういう面では古い人間なのかもね。
そのうち、タミフルドライシロップ!イチゴ味とか、リレンザ!グレープ風味なんていう時代がくるのかな・・・。
まあ~ いづれにせよ病気にかからないのが一番。
でも医師が一番不養生なんで気をつけないとね。。。
今、ひとりでも医師が欠けると途端に火の車だから。。。(まあ独り言なんで忘れてくださいな)





